Peer-to-peer AirPlay(P2P AirPlay)

P2p airplay

 端末等の画面を大画面で表示させたい場合,ディスプレイや液晶プロジェクタ等の大画面提示装置とケーブルで接続する方法があります。

 教室にあるパソコンと大画面提示装置は置きっ放しですから,普段からケーブルで接続しておくことは普通です。

 しかし,タブレット端末のように持ち運びできることが持ち味のモバイル端末の場合,願わくはケーブルではなく無線で接続できると,なお便利です。そのような無線接続で画面を外部に出力する技術が,MiracastAirPlayとよばれる技術です。

 Miracastは,端末側(送信側)と大画面提示装置(受信側)をダイレクトに接続する画面転送技術です。実際には,大画面提示装置のHDMIに小型受信機を付け足して使うスタイルになります。つまり,Wi-Fi電波を使った仮想HDMIケーブルのようなものです。

 一方,AirPlayは,Apple社独自の技術で,同じネットワークに繋がっているApple TVと端末(iPadやMac)との間で画面転送するものです。Apple TVを大画面提示装置に接続して使います。ネットワーク接続は必ずしも無線でなくてもよく,有線ネットワークでも可能な点がMiracastと違います。ただし,ダイレクト接続はできず,何かしら既存のネットワークに接続することが必要でした。

 つまり,あらかじめセッティングされているApple TVに,外部から持ち込んだiPadの画面を転送表示したい場合,iPadがApple TVと同じネットワークに接続されなければなりません。しかし,組織や学校の無線LANは,パスワードが必要だったり,接続する機器の登録が必要だったりと,外部から持ち込まれた端末を接続するのが面倒です。そのためAirPlayすることも簡単ではなく,せっかくの機能も宝の持ち腐れであることが少なくありませんでした。

 また,そもそもApple TVを端末と一緒に外部から持ち込んだ場合,Apple TV自体をネットワークにつなげる方法も考えなければなりません。大画面提示装置,Apple TV,端末と機材は揃っているのにAirPlayによる画面転送が簡単にはできないのもストレスのたまる話でした。(モバイルルーターを加えてWi-Fiネットワークを作ったり,iOSのインターネット共有機能でネットワークを作成してApple TVをそこにつなげてしまうという方法が必要でした。)

 さて,AirPlayにもMiracastの様なダイレクト接続機能が待ち望まれていたわけですが,iOS8と最新のApple TVを使うことで,Peer-to-peer AirPlay(P2P AirPlay)として可能になりました。

AirPlay – iOS Deployment Reference
http://help.apple.com/deployment/ios/#/apd8fc751f59 

 このP2P AirPlayは,Wi-Fiの電波を使ってApple TVと端末の間で画面転送する機能です。Apple TVと端末が同じネットワークに繋がっている必要はありません。インターネットに接続されていなくてもApple TVと端末があれば画面転送できます。Bluetoothを使って端末がApple TVを探し,送信側と受信側がダイレクトに接続されるのです。

 ただし,P2P AirPlayが動作する条件は,最新のApple TVとiOS8デバイスのみ。早くに導入したApple TV(2012年以前)では残念ながら実現できません。

・Apple TV (第3世代 revA モデルA1469以降) with Apple TV ソフトウェア 7.0

・iOSデバイス (2012年以降) with iOS 8

・Mac (2012年以降) with OS X Yosemite version 10.10

 以上の組み合せでのみ可能です。どうしてもP2P AirPlayが利用したい場合は,潔くApple TVを買い直すのが手っ取り早い解決方法です。

 既存のネットワークへの接続がいらないので,AirPlayへの敷居が低くなったのは有り難いですが,現実にはネット接続がないとWebの画面を見せることもできないし,動画を再生して見せることもできないのではないか。そんな素朴な疑問も湧きます。

 また,無線LANの仕組みやAirPlayで試行錯誤したことがある人は,P2P AirPlayなんかしたらインターネット接続はどうなってしまうのだろう,と技術的な疑問を抱くかも知れません。

 簡単にいえば,Apple TVにP2P AirPlayするWi-Fiとインターネット接続するWi-Fi(もしくはキャリア回線)は併存します。

 よって,モバイルルーターやキャリア回線でインターネットに接続できる状態であれば,それに加えてP2P AirPlayが動作するので,ネット利用の様子も画面転送できるというわけです。

 ただし,唯一の例外があります。

 動画の全画面再生は,AirPlayの仕様上,Apple TVが引き受けてしまうのです。

 だからどうしたという感じですが,全画面の動画再生をApple TVが引き受けてしまうということは,Apple TVがインターネット接続されていなければならないという条件が加わってしまうということなのです。

 たとえば,Webページの中に動画が埋め込まれていた場合,Webページの中なら端末が再生しているのを画面転送して見ることができます。
 ところが,全画面アイコンをタップして大きくした途端,Apple TV側がその動画を直接ネットから読み込み再生しようとするため,Apple TVがネットに接続していないとエラーになるのです。知らないとビックリします。

 Apple TVをネット接続しない場合は,動画を全画面再生させず,可能であればピンチで拡大して再生するのが逃げ道です。

 実際に最新世代のApple TVを設定して,P2P AirPlayを試みようとすると,最初は正常に動作してくれないことが起こります。

 Apple製品を相手にしているとよく起こることですが,設定作業や設定直後はなかなか安定してくれず希望している動作をしてくれないことがあるのです。

 それはそれで大変困るのですが,いつの間にか安定して,嘘のように当たり前に動作するようになるので,最初のうちは辛抱です。

 しかし,こんなアドバイスも無責任この上ないので,安定するコツをお伝えすると,Apple TVの設定を変更したら,毎回再起動してみる,これに尽きます。

 「Apple TVの設定を変更したら,再起動すること

 P2P AirPlayが出来ると聞いて購入して設定したのに,一向にiPadやiPhoneにApple TVが現れないとか,リストを選んでも画面転送を始めてくれないとか,名前の後ろに(2)とか(3)とか変な記号がつくとか,悩ましい現象が次々起こります。

 そんな時は…Apple TVを再起動。Apple TVの名前を変えたら…再起動。AirPlayの入切を変更したら…再起動。パスワードを設定したら…再起動。

 もう,面倒臭がらずに一つ一つの設定でApple TVを再起動してください。そうすれば最終的には安定して使えるようになります。もちろん,設定は記憶されているので,電源を抜いたあと次回使う時に初めからということはありません。

 端末のリストから消えてしまった場合は,端末のWi-Fiを一度切って,一呼吸置いてから入れ直してください。裏でとても働いていると想像して,のんびり待つのがコツです。

教育とICTの時系列

 日本の教育とICTの出来事についてタイムラインにプロットしてみました。作成中のため,今後も更新されます。

日本の教育とICTの時系列

Edmodoが日本語対応開始

 日本時間で2014年6月11日に教育系SNSとして有名な「Edmodo」(エドモド)が日本語対応を開始しました。ログイン画面や紹介ページの一部,内部のメニューやボタン表示に日本語の選択肢を加えたのです(Language設定で切り替えないと英語のまま表示されることもあります)。

edmodo_jpn

 教育で利用できるSNSについては紹介済みですが,Edmodoの日本語化で,いよいよ教育現場へのSNS導入に勢いがつきそうです。これらは授業と家庭教育をつなぐツールとして期待され,反転授業といった教育方法にも役立つと考えられています。こうしたサービスには他にも「Schoology」や「Ednity」「Classing」などがあります。

 しかし,サービスをどうやって利用すればよいのか。具体的な設定や運用方法のノウハウはまだ何も蓄積されていません。Edmodoでは「グループ」を作成して,そこに児童生徒を登録することが出来ますが,これを「学級」グループとするのか,「科目」グループを複数作るべきなのか。学年進行によってグループやリソースをどのように管理し保管し処分すればよいのかは,まるでノウハウが溜まっていません。

 私たちは,新しい教育内容や新しい道具とともに新たな教育学習の在り方について試行錯誤し定義し直していく大仕事に直面しているわけであり,それはこのご時世に大変難しく辛い仕事ではあるのですが,またとないチャンスの時代を迎えているともいえます。先人たちの作り上げたものを受け取った者として,それを踏み台に次に手渡すものを生み出すのです。

 教育系SNSやタブレット端末といった道具立てを有効に活かしたいものです。

動画作成アドイン Office Mix

 米国時間5月6日にマイクロソフトは「Meet Office Mix」というブログ投稿で,PowerPoint用の無料アドインソフト「Office Mix」の公開プレビューを開始すると発表しました。

 このOffice Mix,名前からは想像しにくいですが,動画作成アドインです。PowerPointスライドをベースにした説明動画を作成できるのです。

officemix02

 従来までもPowerPointスライドにはナレーションを録音して付けることはできました。自動再生させればスライドそのものを動画として利用することはできたわけです。

 このOffice Mixを使うと,スライドを見せながら説明している状況そのものを録画できます。つまり,ペンツール等を使った書き込みや説明している本人の姿を動画に盛り込むことができるのです。

 昨今,カーン・アカデミーやMOOCSなどの学習プラットフォームが注目され,動画教材の可能性が広く知られるようになりました。教師が使える道具として動画作成ツールへのニーズも高まっているところです。

 こうしたニーズに応えるツールはいくつかありましたが,最も使われているプレゼンテーションツールであるPowerPoint自体にそのような機能が追加されれば,一番便利です。

 実はかつて「Producer for PowerPoint」という動画作成アドインがありましたが,かなり前に提供を停止して以来,長いことその代替がありませんでした。

 ようやく,最新版のOffice2013で動画作成を実現するアドインが「Office Mix」として復活したというわけです。

[追記]
 ここでは動画作成の機能だけ注目してご紹介していますが,実際にはインタラクティブな教材をつくる機能も含まれているのでMixという名前がついています。

 Office Mixは,インストールするとPowerPointの一機能のように「MIX」リボンとして追加されます。もちろん日本語版Office2013にインストールできます。

 機能としては,作成したスライドに対してペンツールを使いながら録音録画ができる「レコード」機能を始め,問題を追加できる「クイズ」機能,パソコンの操作画面を動画と静止画で記録できる「画面キャプチャ」機能,その他「プレビュー」機能,「アップロード」機能,「書き出し」機能が用意されています。

officemix03

 表示は英語ですが,使い方はシンプルで一度覚えてしまえば児童生徒学生でも簡単に利用することができます。グループ活動の発表作品づくりにも利用できそうです。

Office for iPadとOffice365

 Microsoft Officeは,ワープロソフト,表計算ソフト,プレゼンテーションソフトの3本柱を含んだ事務用ソフトのセット(スイート)として今も昔も大きなシェアを占めています。

 Word, Excel, PowerPointと名付けられたソフトを使いこなせるなら,ベースとなる事務能力がそこそこ備わっていると見てよいことになりますし,そのための資格やスクールがあることからも重要度の高いソフトであることは明らかです。

 しかし一方で,Officeソフトの操作を習得することが目的化してしまう情報教育の迷走を招いたことやバージョンアップを繰り返す中でソフト自体が肥大化して使わない機能に金銭を払っている等の状況に嫌気が差している人々も少なくありません。

 大学の情報基礎科目は実質的にMicrosoft Officeの操作演習となり,大学教員がOfficeインストラクター化しているという揶揄は,今も変わらずといったところです。

 とはいえ,これほどまでに普及してしまったMicrosoft Officeは,情報端末上で文書ファイルを作成をしたり編集交換するためのインフラになっているといってもよく,Officeの標準指定フォントである「MS明朝」や「MSゴシック」ともども,他の代替を探すことは大変難しいのが現実です。

 よって,Microsoft Officeは,それを使う使わない,選ぶ選ばないは別として,その存在自体が大きな影響力を持っているということを理解しておく必要があります。

 Microsoft Officeの存在が与える影響はどれほどなのか。それを理解するには,端末を購入・導入する事例を見ると分かりやすいでしょう。

 たとえば,学校に導入する教育用パソコンにMicrosoft Officeが合わせて導入される例は枚挙にいとまがありません。
 一部にはジャストスマイルやキューブ(ハイパーキューブ)などの統合ソフトで代替する例もありますが,小学校ではDr.シンプラーという子供向けアドインソフトとOfficeを組み合わせるといった例もあります。

 また,佐賀県が県立高校入学で必須購入としたタブレット端末の機種選択の際も,Microsoft Officeを利用できる端末であることが大きな決定要因であったとも言われています。

 個人ユーザーが購入するパソコン/タブレット端末の販売動向においても,Officeが搭載された安価なタブレット端末の売れ行きが好調であるというニュースがあるなど,やはりMicrosoft Officeの存在は無視できないようです。

 さて,Microsoft Officeが重要な存在であることは分かりましたが,いままでこの重要なソフトが使えない端末がありました。その代表がApple社「iPad」でした。

 タブレット端末普及の立役者といってもよいiPadですが,Microsoft Officeが存在しなかったために,いろいろと不遇な扱いを受けてきたことも確かです。たとえば先に見た,端末の購入や導入の際の選択肢として吟味されながらも,最終的にはOfficeが無いために選から漏れることも少なくありませんでした。

 データの共有という点でもOfficeの無いiPadでは問題がありました。一般的なデジタル文書はMicrosoft Officeで作成されたファイルであることが多いのですが,これをメール等で受け取ってもiPad上では安心して開くことができなかったのです。
 逆にiPad上で文書データを作成しようとしても,他のソフトを使用して形式変換したものを転送する方法になり,意図した通りに先方とデータ共有できるかどうか,悩みの種が尽きない状態でした。

 iPadにもOffice互換アプリというものや,Apple社純正の事務用ソフトスイート「iWork」が用意されていましたが,Microsoft Officeを中心に作業が進んでいる環境との相性には不安も多かったのです。

 2014年3月27日(米国)で,Microsoft社が発表会を開きました。新しいCEOによる新たな会社方針と具体的な一手を発表する場でしたが,そこでとうとう「Office for iPad」が登場したのです。

iTunes_us

 ご覧のように,App StoreにiPad用のWord, Excel, PoerPoint(,そしてOneNote)が並ぶ専用画面が登場しました。多くの人々が待ちに待っていたニュースでしたので,世界中から大きな反響があり,あっという間にダウンロード数ランキングもトップを占めています。

 これらは無料で配布されますが,このままだとビューア機能だけとなり,編集・保存などには「Office365」と呼ばれる月額制アプリ利用サービス(購読型またはサブスクリプション型の料金とも言われる)の契約が必要になります。アプリ買い切りの購入方法はありません。App Storeではアプリ内課金の方式で個人・家庭向け「Office365 Home(年間一括払い)」を購入することができます。

 ところが,残念なことに現時点で日本での提供は見送られるとの発表がありました。

iTunes_jp

 ご覧のように日本のApp StoreにはOneNoteだけしか提供されていません。

 アプリ利用に必要なOffice365というサービスが,日本では法人向けしか展開されておらず,個人・家庭利用はソフト買い切り制のみで用意が無かったためです。そのため準備が整うまで,アプリ自体の提供も見送られたと推察されます。

 (日本マイクロソフトのWebサイトでOffice365を知ろうとすると最初は全体がよく見えず,どういうサービスなのか理解が難しかったりします。「Office 365 ナントカ」以外にも「Office ナントカ 2013」と書かれたものが乱立しているからです。基本的には365と付いているものが月額制あるいは年間一括払い制のソフト購入方法で,2013と付いているものは従来の買い切り型の購入方法と理解しましょう。世界はOffice365月額制に移行しているというのが最近の動向です。)

 iPadにOfficeがやってきたことは嬉しいニュースではありますが,日本ではしばらく個人・家庭向けの利用はお預けということになりそうです。

 ただし,すでに法人向けOffice365の契約でWindows版Officeを利用しているユーザーは,iPad版を利用する権利があります。米国のApp Storeからアプリをダウンロードさえできれば,アプリ自体は国際化(日本語化)されているので,契約アカウントを入力することで編集・保存機能をアクティブ化できます。

 仮に日本で販売が始まっても,もともと個人・家庭向けではOfficeの商業利用は認められていませんので,初めから商業利用を含む形でOfficeを利用したいと考えている場合「Office365 ProPlus」というサービスを購入してしまう方法もあります。これなら現在でも日本で契約することができます。金額と相談して決定しましょう。

 教育機関での導入の場合も,教育機関向けOffice365を利用するのが基本となります。ただ,Windows端末であれば従来の買い切り方法も残されているので,iPadのためにわざわざOffice365という購読型の契約をすべきかどうか悩まれる関係者もいると思われます。

 この辺は,ソフトウェア利用や購入に関してどういう考え方を取るか次第です。

 アカデミック版であるOffice Professional Academic 2013が,2万8,381円。学校のパソコンは1台につき6.5人くらいの割合なので,これを6年くらい使う想定で考えて計算すると1人につき年額728円程度になります。だいぶ乱暴ですが,見当をつけるための数遊びとお考えください。

 教育機関向けOffice365は学生1人につき月230円となり,年額で2,760円となります。教員は月額410円なので年額4,920円。買い切りの方が費用を断然抑えられると考えたくもなりますが,実際には,パソコンだけでなくiPadも利用できたり,バージョンアップあれば自動で行なわれたり,継続的なサポートが受けられたりとOffice365にもメリットがあると考えることもできます。

 学校においてもこれからはICT環境が持続的に用意されなければならない時代であることを考えると,Office for iPadの登場とともに,Office365といった形のソフトウェア購入方法とそれを利用するための学校教育費用の組み方や使い方について,真正面から検討をしていく必要がありそうです。

 最後に,Office for iPadの登場は,そんなに良いことなの?という疑問について。

 Office for iPadに対する評価は様々で,米国のApp Storeのレビューも予想外の出来の良さを評価するものがある一方で,「いまさらOffice?」「サブスクリプション(月額制Office365)なんていらない!」「ビューア機能といってもアプリを抜けたら再度読み込み直しになって不便!」「iWorkで十分」「買い切り型でなきゃいらない」などなど,手厳しい意見もたくさん書き込まれています。

 個人的にはアプリ買い切り型が欲しいという意見には賛同しますが,ソフトウェアビジネスが持続的なものになるためには仕方ないかなと思っています。突然「開発もサポートもやーめた」なんてことが,遅かれ早かれくるとしても,できるだけ長く使い続けられるように継続して欲しいですし,同時にデータ形式などがオープンであることも大事と思います。

 Microsoft Officeでなくても良いソフトはたくさんありますが,「Officeもある」ということが大事なのであって,その上で好きな選択肢を選べるようになったことが「Office for iPad」の重要な意義と思います。幸いOffice for iPad自体の評判は悪くないようですので,今後はまだ不足している部分が改善されて,より良くなることに期待したいと思います。

iPadのフォントを増やす方法

 iPadでワープロ文書やスライドを作成しようとする時の悩みの種はいろいろありますが,日本語の文字フォントが限定されていることも一つ大きな問題でした。iPad単独では,フォントを追加したりする機能は搭載されていないのです。

 学校では表現のためのツールとして活用したい場面が多いですので,文字フォントが限定されていることを残念に思う児童生徒さんが多かったのも事実です。お絵書きツールを使って手書きで自作したり,パソコンで画像にしたものを転送して使う方法もありますが,やはり面倒でした。

 ところで実際のところ,iOSにはフォントを管理する方法が用意されています。

 学校で複数台のiPadを管理する際に使う「Apple Configurator」やOS X Serverの「プロファイルマネージャ」には,iPadを設定するための「構成プロファイル」というものが用意されていますが,この中にはフォントを設定するための項目が用意されていて,必要に応じてフォントを追加した形で管理できるようになっているのです。

 つまり,学校や管理者がフォントを用意して設定さえすれば,管理するiPadのフォントを増やせます。

 (これが正式な機能であることは「構成プロファイルリファレンス」というドキュメントを見るとわかります。「Font」ペイロードというのがその項目です。)

 学校や組織で使うiPadにフォント追加する方法があることは分かったけれど,個人で使用しているiPadの場合はどうすればよいのでしょうか。Apple Configuratorは無料ですので,それを使う手もあります(参考ページ)。

 アプリを使う方法もあります。「AnyFont」(200円)は,あらかじめアプリ内に転送したフォントファイルをiOSデバイス(iPadとiPhone)に追加できるアプリです(参考ページ)。

AnyFont AnyFont (iOS – App Store)

 このアプリは,追加したいフォントを選択すると,一旦ブラウザを経由してから,iPadの設定アプリを呼び出して,プロファイルをインストールする作業によってフォントを追加します。(アプリに転送するだけでは追加されません)

 さて,フォントが追加できるのは嬉しいですが,希望のアプリで使えるかどうかはまた別。

 実は,iOSの標準のフォント機能を使用して開発されているアプリと,独自に開発しているアプリがあって,必ずしも追加したフォントが使えるとは限らないのです。

 主なアプリで追加したフォントが利用できるかどうかのチェック結果は以下の通り。

○ Pages
○ Keynote
○ Number
○ Word for iPad
○ PowerPoint for iPad
○ Excel for iPad
○ MetaMoJi Note(旧名Note Anytime)
○ MetaMoJi Share(旧名Share Anytime)
○ 7notes
× Evernote(フォント設定がない)
○ OmniGraffle
× OmniOutliner(フォント選択ができない)
× ロイロノート
× E-REPORT(フォント選択できない)
× QBプレゼン(文字入力機能ない)
○ Explain Everything
× Prezi(フォント選択ができない)
× KINGSOFT Office(MS明朝のみ可)
× POLARIS Office
○ HancomOffice
○ iテキスト
× N+Note(自前で用意)
○ GoodReader(テキストファイル用フォントの設定)
△ OneNote(MS系フォントは表示される)
○ Photoshop touch
○ SketchBook Express
× Markee
○ Cute CUT
× iMovie(フォント選択ができない)

 さて,問題は追加するフォントです。

 アップルの説明によると追加できるのは「TrueType(.ttf)形式またはOpenType(.otf)形式のフォントファイル」とのこと。ただし,追加するフォントや組み合わせによっては一部のアプリが動作しなくなるなどの問題もあるようです。

 追加してもよいフォントファイルなのかどうかも問題になります。

 基本的にパソコンやソフトに付属しているフォントはそのパソコンやソフトで使用することを条件にしていることがほとんどなので,好き勝手に転送してインストールすることは約束上できません。

 そこで,フリーフォントを利用しましょう。

 インターネット上にはフリーで利用を認めているフォントが提供されています。最近は,そういうフォントの種類も多くなって不自由しなくなっています。「フリーフォント」で検索したり,以下のサイトを参考にしてフォントを揃えてはどうでしょうか。

 フォントな  FONT FREE  漢字フリーフォントギャラリー

教育に利用できるSNS

日本語利用 備考
Facebook 米国 サービス自体は一般向けだが,教育での利用事例もある。
Edmodo 米国 教育系SNSのさきがけ。シンプルで使いやすい。
Classroom 2.0 米国 先生向け
Diipo 米国
Eduora 米国
Classting 韓国
Symbaloo EDU 米国
Edublogs 米国
Twiducate 米国
Schoology 米国 多機能な教育系SNS。
EDU 2.0 米国
Lore 米国
Collaborixe Classroom 米国
eduClipper 米国
TeachAde 米国
ぐーぱ 日本 児童向け
Ednity 日本 参考:TechTarget記事
Studyplus 日本 学習管理サービス
One-on 日本 有料サービス
エデュリオ 日本

[画面例]
○授業グループに反転学習用の動画を投稿した場合の見え方:

Facebookグループに投稿した様子
mvpost_facebook

Edmodoに投稿した様子
mvpost_edmodo

Ednityに投稿した様子

Classtingに投稿した様子
mvpost_classting

Raspberry Pi/ラズベリーパイ

Raspberry Pi (Photo from Wikipedia)

 基盤の上に部品が組み上げられた,大きさがクレジットカードサイズのコンピュータ。剥き出しで安価(4,000円程度)ではあるが,Linuxという基本ソフトが動作し,立派にコンピュータとして利用できる。

 Raspberry Piは,最初から子供達や教育のことを想定してつくられたので,電子工作の土台として利用したり,ソフトウェアの開発マシンとしてプログラミング教育で使うことに注目が集まっている。

 購入はAmazonなどでも可能だが,RSコンポーネンツ社から購入するのがオーソドックスな方法となる。
Raspberry Pi販売サイト(RSコンポーネンツ)

RSJ

【アドバイス!】
 購入ページには「個人での購入の場合はこちら」と「通常のRSとのお取引の場合はこちら」と2つのボタンが用意されている。普通に読めば前者のボタンを押すことになりそうだが,前者は英国本社の英語サイト。後者のボタンが日本国内の日本語サイトなので,個人だとしても「日本の個人」の場合は「通常のRSとのお取引の場合はこちら」を選ぶこと。
 (本来RS社は部品の卸販売ビジネスをしているので,販売サイトや取引条件文面などが個人向けになっていない。しかし,実際には個人で登録をして注文することができるので,安心して「1個」注文してよい。)

Raspberry Pi モデルB 全部入りモデル
512 MB RAM
USB 2.0ソケット × 2
10 / 100 BaseTイーサネットソケット有り
Raspberry Pi モデルA 基本モデル
256 MB RAM
USB 2.0ソケット × 1
10 / 100 BaseTイーサネットソケット無し
※別途USB用無線LANアダプタを購入してネット接続する方法がある
モデル共通 ケース別売り
基本ソフト別売り(SDカード付きセット商品有り)
Broadcom BCM2835 700 MHz ARM1176JZFSプロセッサ
HDMIビデオソケット
RCAコンポジットビデオソケット
SDカードソケット
microUSBソケットから給電
3.5 mmオーディオ出力ジャック
GPIO及びシリアルバス用のヘッダ
JTAGコネクタ用のヘッダフットプリント
Raspberry Pi HDビデオカメラ用コネクタ
Webサイト Raspberry Pi 財団
ラズベリーパイ(RSコンポーネンツ デザインセンター)
Japanese Raspberry Pi User Group
関連図書 『Raspberry Piではじめるどきどきプログラミング  ~自分専用のコンピューターでものづくりを楽しもう!』(日経BP社 2014)
『Raspberry Piユーザーガイド』(インプレス 2013)
『Raspberry Piで遊ぼう! 改訂第2版』(ラトルズ 2014)
日経BPパソコンベストムック『誰でもできる!Raspberry Piで楽しもう』(日経BP社 2013)
『Raspberry Pi[実用]入門――手のひらサイズのARM/Linuxコンピュータを満喫!』(技術評論社 2013)
『Raspberry Piをはじめよう』(オライリー 2013)
『お手軽ARMコンピュータ ラズベリー・パイでI/O』(CQ出版 2013)
『「Raspberry Pi」 でつくる電子工作』(工学社 2013)
『ラズベリー・パイで作る 手のひらLinuxパソコン:インターフェースZERO No.05』(CQ出版 2013)
日経BPパソコンベストムック『格安PCボードで始める 電子工作超入門』(日経BP社 2014)
プログラミング教育 PEG (Programming Education Gathering)
「グーグル、小中学生のプログラム教育を無償支援」(日経新聞)
「「コンピューターに親しもう」プログラムを開始しました」(Google)
「プログラミングを学校の必須科目にするためのキャンペーン“Hour of Code”と国の“コンピュータ科学教育週間”が同時期に」(TechCrunch)
キット商品 Kano
 Raspberry Piをベースにキーボードやケース,電源アダプタ,基本ソフト等を特別に用意してキットに仕上げたパッケージ。現在予約段階で7月に登場予定。

rpi01 rpi02
Linux基本ソフトが入ったSDカードとセットになったモデルBパッケージ

【後日…】
RSコンポーネンツ社はカタログ販売の会社なので,Raspberry Piを一つだけ注文しても分厚いカタログが届きます。^_^; 電子工作に興味が湧いた時に役立つかも知れません。
rs_catalog

EdTechブランド

(Familiar in Japan)

開始年
Lang-8 2007年6月 語学学習プラットフォーム
iKnow 語学学習サービス
すらら 2008年8月 自立学習応援プログラム
e-board 小中高生のための無料学習サイト
manavee 大学受験授業動画サイト
mana.bo スマホ家庭教師
ShareWis 知識の地図による無料学習サイト
schoo 生放送で無料授業サイト
Quipper モバイル学習プラットフォーム
Studyplus 2012年 学習管理サービス
FLENS 2012年 タブレット学習システム
SENSEI NOTE 2012年 先生向け情報共有サイト
Oops! Study 遊べる学習サイト
受験サプリ 大学受験コンテンツサイト
GAKUMO 中高生向け学習サービス
アオイゼミ 中学生向けインターネット学習塾
ベストティーチャー スカイプによるオンライン英会話
Langrich スカイプによるオンライン英会話
リップルキッズパーク スカイプによるオンライン子供専門英会話
Ednity 教育向けSNS
ClassDo オンラインクラスルーム
TechAcademy ITに特化したスクール
Streetacademy スキル共有コミュニティサイト
Teachme ステップガイド作成共有サイト
sopra 映像学習サービス
Life is Tech 中学生、高校生向けプログラミング・ITキャンプ
Tech Kids CAMP 小学生向けプログラミング入門キャンプ
PEG 子供向けプログラミング教育プロジェクト
ドットインストール プログラミング学習サイト
CODEPREP プログラミングを学ぶオンライン講座
コードアカデミー高等学校 プログラミングを学ぶ広域通信制・単位制課程学校
学びゲット! クイズによる無料学習サービス
edulio 2012年9月 無料オンライン学習システム
Clear ノート共有サービス
gacco 無料大学講座サイト
ATLS 問題データベースサイト
受験の星 受験勉強動画チャンネル
Language Cloud 言語教師向け授業支援・分析ツール
みんドリ ソーシャル暗記カード
zuknow 暗記帳アプリ
Global Education for Japan Project 海外学習コンテンツ翻訳プロジェクト

(World Wide)

動画教材作成のための準備


収録手順
[パソコンを使う場合]
 カメラで映像をメインとする場合とパソコン画面をメインにする場合で手順が異なります。最終的に動画編集をして公開する部分は共通です。

[iPadを使う場合]
 iPadだけで動画教材を作ることができます。教材内容を用意する以外の準備が楽なので,手軽に試したい場合にはお勧めの選択です。


道具準備

【Win】
"Office Mix" PowerPoint動画作成アドイン
無料
"Camtasia Studio" 画面録画ソフト
27,600円 (アカデミックユーザ 16,500円)
"CamStudio" 画面録画ソフト
無料
"Debut" 動画キャプチャソフト
60ドル(試用版あり)
"ロイロゲームレコーダー" 動画キャプチャソフト
無料
"Bandicam" 画面録画ソフト
無料版(透かし,10分間の制限)
3,980円
"SketchBook Express" 描画ソフト
無料(Windows 8用)
"白板ソフト" 手書き表現ソフト
フリー/プロ 9,450円
"Note Anytime" ノートアプリ
600円(無料Lite版あり)
"ムービーメーカー" 動画編集ソフト
無料
"Adobe Premiere Elements 12" 動画編集ソフト
13,800円
【Mac】 #colspan#
"Camtasia 2" 画面録画ソフト
9,800円
"ScreenFlow " 画面録画ソフト
Telestream 10,137円
Mac App Store 9,800円
"QuickTime" 画面録画ソフト
無料
"Ink2Go" 画面録画と画面アノテーション
2000円
"Snapz Pro X" 画面キャプチャソフト
6,090円
"OmniDazzle" マウスカーソル動作をプレゼン向けにアレンジするソフト
無料
"HighLight" 画面上で描画できるソフト
100円
"Deskscribble" 画面をホワイトボードのように
1000円
"SketchBook Express" 描画ソフト
無料
"SketchBook Copic Edition" 描画ソフト
無料
"iMovie" 動画編集ソフト
無料
"Final Cut Pro" 動画編集ソフト
28,800円
"Voila" 画面キャプチャソフト
3000円
【Web】
"Screencast-O-Matic" Javaを利用した画面録画Webサービス
"Screenr" Javaを利用した画面録画Webサービス
【iPad】 #colspan#
"Explain Everything" 画面録画アプリ
300円
"Doceri Interactive Whiteboard" 録画対応インタラクティブホワイトボード
無料
"Adobe Voice" ストーリーテリング録音アプリ
無料
"Vittle" 画面録画アプリ
900円
"Lecture Capture" 画面録画アプリ
100円
"ScreenChomp" 画面録画アプリ
無料
"Ask3" 画面録画&協働アプリ
無料
【収録用機材】 #colspan#
ペンタブレット Wacomタブレット IntuosPro
プリンストンテクノロジー
マイクロフォン サンワサプライ USB接続マイク
エレコム
バッファロー ヘッドセット
サウンドハウス取り扱い USB接続マイクロフォン
Webカメラ ロジクール
マイクロソフト
バッファロー
エレコム
サンワサプライ
【中継用機材】
ビデオカメラ 価格.com
ストリーミングソフト Ustream Producer 無料/20,377円
Wirecast 50,687円
Xsplit Broadcaster 99.95ドル/年
Open Broadcaster Software 無料
Flash Live Media Encoder 無料
CamTwist for Mac 無料
PCレス 配信機器 LiveShell 26,800円/54,999円
LiveWedge 99,999円
Logicool Broadcaster Wi-Fi Webcam 19,800円
【その他】
AirPlay受信ソフト Reflector 12.99ドル
AirServer 14.99ドル
Mac関連 soundflower
AU Lab
LadioCast
映像キャプチャ機器 Intensity
5分間限定画面録画 Jing(Win/Mac)

※無料ソフトのダウンロードの際には,ウイルスチェックするなど用心をしてください。


内容構成
(後日更新)